前記事の続きです。

<設例>
妻に先立たれたAさん(75歳)は、Bさん(72歳)と再婚しました。Aさんは、自分が亡くなった後もBさんが自宅に住み続けられるよう、以下の遺言を残しました。

1 長男Cに自宅の土地建物を相続させる。
2 妻Bに配偶者居住権を遺贈する。

3年後、AさんはBさんに看取られて亡くなりました。Bさんは配偶者居住権のおかげで、これからも自宅に住み続けられると思っていたのですが‥‥

Aさんの再婚に反対で、Bさんのことを快く思っていなかったCさんは、自宅の相続登記を済ませると、土地と建物を不動産業者Dに売却し、所有権移転の登記をしてしまったのです。

D社はBさんに自宅を明け渡すよう求めました。突然退去を求められたBさんは戸惑っています。

Bさんの配偶者居住権は、登記しなければ所有権の継承者に対抗することができません(改正法1031条2項による605条の準用)。

「居住建物の所有者は、配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う」とされてはいますが(改正法1031条1項)、これを無視してCさんがBさんの配偶者居住権の登記に協力せず、自宅をD社に売却し、D社が登記を備えてしまうと、D社が背信的悪意者でない限り、BさんはD社に対して配偶者居住権を主張できない――少なくとも条文上はそのように読めます。

このような事態を防ぐためには、自宅について配偶者に共有持分を持たせた上で配偶者居住権を遺贈するのが最も確実なように思われます。たとえ1割でもBさんに持分があれば、Cさんは勝手に売却することはできません。

配偶者居住権を設定することに他の相続人が納得していれば問題はないでしょうが、そうでない場合、せっかくの配偶者居住権が機能しない可能性があることには留意しておいた方がよいでしょう。

※「私の終活~エンディングノート」をプレゼント中です。詳細はこちら

 

足立区社会福祉協議会 寄附のご案内

日本財団「災害復興支援特別基金」

あしなが育英会「東北レインボーハウス(仮称)」建設募金

日本赤十字社「平成30年7月豪雨災害義援金」