去る7月6日の参議院本会議において「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」と「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」が可決され、成立しました。報道によれば、2020年7月までに順次施行されていくとのことです。

民法改正の目玉の一つが、配偶者居住権の新設です。

制度創設の趣旨と配偶者にとってのメリットについては、法務省の小野瀬民事局長が衆議院法務委員会で次のように説明しています。

近年におきます高齢化の進展、それから平均寿命の伸長に伴いまして、被相続人の配偶者が相続開始の時点で高齢となっており、かつ、その後も長期間にわたって生活を継続することも多くなっております。そして、高齢の配偶者は、住みなれた居住環境での生活を継続しつつ、その後の生活資金として預貯金債権等の財産についても一定程度確保したい、こういうふうに希望する場合も多いと考えられます。

ただ、現行の遺産分割の手続におきまして、配偶者が従前の居住環境での生活を継続したいという場合には、その建物の所有権を取得するということが考えられるわけですが、遺産分割で建物の所有権を取得する場合には、その評価額が高額となり、配偶者がそれ以外の財産を十分に確保することができないといった事態が生じ得るわけでございます。

そこで、本法律案では、配偶者が従前の居住環境での生活を継続しつつ、老後の生活資金も確保することができるようにするために、配偶者居住権という新たな権利を創設することとしたものでございます。

この居住権といいますものは、建物に住むことはできますけれども、売却したり、あるいは人に自由に賃貸するということができない権利でございますので、所有権と比べて制約がある権利ということになりますので、その分、評価額の圧縮が可能となるということになります。その分、居住建物の所有権を取得する場合よりも低廉な価格で居住権を確保することができ、その分、預貯金債権等の老後の生活資金を確保することができるようになる、こういったメリットがあるわけでございます。

また、配偶者居住権の活用場面は遺産分割の場合に限られるものではございませんで、被相続人が遺言によって配偶者に配偶者居住権を取得させることもできることとしております。

これによりますと、例えばそれぞれ子供がいる高齢者同士が再婚した場合にも、自宅建物を所有する者は、遺言によって、その配偶者には配偶者居住権を取得させて居住権を確保する、自宅建物の所有権については自分の子供に取得させる、こういうことができるようになりまして、被相続人の財産処分の選択肢もふやすことができるということになるわけでございます。

(第196回国会衆議院法務委員会議録第19号、源馬謙太郎委員への答弁)

配偶者居住権の導入によって、残された配偶者は、居住の安定と生活資金の確保を同時に図れるようになるわけです。評価の割合をどうするかは今後の検討課題ですが、新聞等の解説記事を見ると評価割合を50%と仮置きして説明しているものが大多数なので、このあたりが落としどころなのではないかと推測しています。

もっとも、さきに引用した局長答弁の最後の部分、高齢者同士の再婚で、配偶者には居住権、子には所有権という形で遺言するケースについては問題がありそうです。これについては稿を改めて考えてみたいと思います。

 

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