死後事務の法定化
8月11日付日本経済新聞夕刊の「くらし」面に「成年後見制度 進む見直し 死後手続き使いやすく」という見出しでかなり大きな記事が載りました。
記事によると、いわゆる「死後事務」についても後見人の権限に含める方向で民法を改正するとのこと。
身寄りのない被後見人が亡くなったとき、後見人が火葬・埋葬に関する手続や入院費用の精算などを行うことがあります。これらの死後事務は、本来は相続人がするべきことなのですが、相続人がいなかったり、いてもかかわることを拒絶されたりすると、後見人が行わざるを得ないという実態があります。
現行法上、被後見人が死亡した時点で後見は終了しますから、後見人が死後事務を行う法的な権限はありません(死亡届の提出はできます)。民法の事務管理の規定(697条~702条)を援用して正当化しているのが実情です。
死後事務が後見人の権限として法定化されれば、後見人としては動きやすくなりますし、増加傾向にある市区町村長申立てがさらに増える可能性もあります。
もっとも、記事には「今国会で関連法が成立すれば来年3月から施行される見通し」とありますが、現時点で法案は国会に提出されていませんし、先に提出された民法改正案(債権関係)が衆議院法務委員会で実質審議入りしていない状況なので、実際に成年後見関連の法案が提出され、審議されるのは早くても来年の通常国会ではないかと私は見ています。