内容証明の法的効果(2)
前回の続きです。
内容証明を含む書留郵便が配達されたとき、相手方が不在だった場合の扱いは、皆様もよくご存じのことと思います。郵便局員は不在連絡票を郵便受け箱に入れ、郵便物は持ち帰って保管(留置)します。留置期間は7日です。
通常は、不在連絡票を見た相手方から連絡が入り、指定された日時に再配達するか、相手方が郵便局まで受け取りに出向きますが、相手方から全く連絡がないまま留置期間が経過してしまうケースもあります。この場合は、郵便局員が再度配達に出向き、それでも不在だった場合は差出人に返送されることになります。返送された郵便物には、「留置期間が経過し、再配達を試みたが、受取人が不在で配達できなかったため返送する」旨が記載された附せんが張ってあります。
この場合、意思表示は到達したと言えるのか。下級審の判断は分かれていましたが、平成10年6月11日、最高裁判所第一小法廷が「遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人が、不在配達通知書の記載その他の事情から、その内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができ、また、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく右内容証明郵便を受領することができたなど判示の事情の下においては、右遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる。」という判断を示しました(民集52巻4号1034頁)。
この判決により、受取人不在で返送された場合でも意思表示は到達したことになると言えそうですが、「判示の事情の下においては」という文言が気になります。事情次第では、意思表示は到達していないと評価され得るようにも思えるのです。
本当は居留守を使って受け取らなかったのに、「いや、その間は海外旅行に出かけていて、書留が来たことに全く気づかなかったんですよ」などととぼけられると、話はややこしくなってきます。
こういう場合にとり得る対抗策については、稿を改めます。(続く)
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