昨年7月に可決成立し、7月13日に公布された「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(改正相続法)」及び「法務局における遺言書の保管等に関する法律」のうち、ことし1月13日に施行された自筆証書遺言の要件緩和、来年4月1日施行予定の配偶者居住権の新設、同じく7月10日施行予定の自筆証書遺言の保管制度の創設を除く部分が7月1日から施行されます。

その中でも特に重要な「遺産分割前における預貯金払い戻し制度」と「特別の寄与の制度」について見てまいりましょう。

まずは「遺産分割前における預貯金払い戻し制度」についてです。条文は以下のとおりとなっています。

(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
第九百九条の二 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

各相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち、各口座ごとに以下の計算式で求められる額までについては、他の相続人の同意がなくても、単独で払戻しを受けることができるようになります。

【計算式】
単独で払戻しを受けることができる額=(相続開始時の預貯金の額)×(3分の1)×(その相続人の法定相続分)

ただし、同一の金融機関から払戻しを受けることができる金額は、法務省令で定める額(150万円)までとされています。

葬儀費用や当面の生活費に充てるため、すぐに預金をおろしたいような場合には有用な制度ですが、遺産分割協議が調う前に相続財産に手をつけることは、後のトラブルの誘因となる可能性もあります。

同居する家族にキャッシュカードの暗証番号を教えておき、自分が亡くなったときには、口座が凍結される前に引き出すよう言い含めておくことも現実に行われています。簡便な方法ではありますが、これも他の相続人との間でトラブルを引き起こしかねません。

残される家族が当面の生活に困ることがないようにという趣旨であれば、暦年贈与を活用して生前にある程度の額を渡しておくなり、家族を受取人とする生命保険に加入しておくことが、後々のトラブルを防ぐ観点からも有用でしょう。

「特別の寄与の制度」については稿を改めます。

 

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