今なぜ「成年後見制度利用促進法」か

さきの通常国会において「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が可決成立し、5月13日に施行されました。

現在の成年後見制度が始まったのは平成12年(2000年)です。そこから15年を経たこの時期になぜ「利用の促進に関する法律」が制定されたのか、その答えは条文の中にあります。

「認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理又は日常生活等に支障がある者を社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊の課題であり、かつ、共生社会の実現に資すること及び成年後見制度がこれらの者を支える重要な手段であるにもかかわらず十分に利用されていない」(1条)からです。

よく知られているところですが、成年後見制度は介護保険と同時に導入されました。「介護保険と成年後見は車の両輪」とも言われています。しかしながら、介護保険はさまざまな問題を抱えながらも私たちの暮らしの中で定着し、全国で約500万人が利用しているのに対し、成年後見制度の利用者数は約20万人にすぎません。

そして、残念なことに、利用の実態も制度設計から乖離していると言わざるを得ません。成年後見制度本来のあり方に近い補助類型や任意後見の利用は極めて低調で、本人の権利が強く制限される後見類型に偏っているのが実情です。本人の保護というより、推定相続人の利益のための後見となってしまっている事例さえ見受けられます。

法律の制定を受け、政府は「成年後見制度利用促進基本計画」を策定し、施策の総合的かつ計画的な推進を図ることとなりますが、とりわけ重要なのは担い手の育成でしょう。近い将来、親族以外の第三者による支えが必要な方々(認知症でひとり暮らしの高齢者など)が急速に増えることが見込まれます。3職種(弁護士、司法書士、社会福祉士)に加えて我々行政書士も積極的にかかわっていきたいところですが、恐らく専門職だけではカバーしきれないでしょう。意欲のある方々を市民後見人として養成し、自治体や社会福祉協議会のバックアップを得ながら活動してもらう仕組みづくりが急務と思われます。

 

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