成年後見制度利用促進法、成立へ

昨日の衆議院本会議で「成年後見制度の利用の促進に関する法律案」と「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」が可決され、参議院へ送付されました。今月中には参議院でも可決され、成立する見込みです。

本稿では、実務上最も影響が大きいと思われる民法の改正についてご紹介することとします。

今般の法改正により、以下の3つの条文が新たに追加されることになります。

(成年後見人による郵便物等の管理)
第八百六十条の二 家庭裁判所は、成年後見人がその事務を行うに当たって必要があると認めるときは、成年後見人の請求により、信書の送達の事業を行う者に対し、期間を定めて、成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(次条において「郵便物等」という。)を成年後見人に配達すべき旨を嘱託することができる。
2 前項に規定する嘱託の期間は、六箇月を超えることができない。
3 家庭裁判所は、第一項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、成年被後見人、成年後見人若しくは成年後見監督人の請求により又は職権で、同項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。ただし、その変更の審判においては、同項の規定による審判において定められた期間を伸長することができない。
4 成年後見人の任務が終了したときは、家庭裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。

第八百六十条の三 成年後見人は、成年被後見人に宛てた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。
2 成年後見人は、その受け取った前項の郵便物等で成年後見人の事務に関しないものは、速やかに成年被後見人に交付しなければならない。
3 成年被後見人は、成年後見人に対し、成年後見人が受け取った第一項の郵便物等(前項の規定により成年被後見人に交付されたものを除く。)の閲覧を求めることができる。

(成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)
第八百七十三条の二 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)

860条の2と860条の3は被後見人宛郵便物の受領と開封に関する規定、873条の2は死後事務に関する規定です。

亡くなった被後見人の火葬を後見人が行うことができるようになるのは一歩前進ですが、家裁の許可がどの程度で出るかが課題になりそうです。申立ての当日か翌日、遅くとも翌々日には許可が出ないと、かえって差し障りが出そうな気もします。

ところで、後見人による火葬をめぐっては幾つか疑問があるのですが、記事が長くなりましたので、稿を改めることにします。

 

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