元プロ野球選手の覚せい剤事犯
元プロ野球選手が覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕されました。通算本塁打数が歴代5位のスター選手で、野球には興味のない人でも名前ぐらいは知っているであろう人物の転落劇は、ワイドショーやスポーツ紙を連日にぎわせています。
薬物問題に詳しい弁護士によると、刑法犯認知件数が減少している中で、薬物事犯はむしろ増加傾向を示しているそうです。そして近年、これまで減少を続けていた覚せい剤の検挙者数が下げ止まる傾向にあり、同時に検挙者の高齢化が進んでおり、再犯率も高く、同じ人物が繰り返し検挙されながらも覚せい剤を使い続けているといいます。50代の再犯率は80%近いというデータもありました。
今回逮捕された元選手は48歳ですが、彼のような中高年の検挙者の中には、社会人として堅実な生活を送ってきた人が、仕事や生活上の困難から覚せい剤に手を染める事例があると聞きます。このような人は、単なる好奇心ではなく、ストレスから逃れたいなど明確な使用目的があり、資金力もあることから、瞬く間に深みにはまってしまうようです。
この事件に関して、裁判官経験のある弁護士がテレビ番組でコメントした内容が印象的だったので、かいつまんでご紹介したいと思います。
「自分が裁判官をしているとき、薬物事犯で同じ被告人を3回担当したことがある。1回目は被告人の妻が情状証人として出廷し、『私が責任を持って更生させます』と言った。2回目のときは、妻とは離婚していて、親が証人として法廷に来た。そして、3回目にはとうとう誰も来なかった。」
薬物は本人だけでなく、家族など周りの人をも不幸にすることを如実に示すエピソードです。同じ番組に出演していた元麻薬取締官は「薬物は一度使ったら終わりだ。絶対に手を出してはいけない」と強調していました。今回の事件を契機に、薬物の恐ろしさを改めて肝に銘じておきたいところです。
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