「待機老人」解消の切り札になるか?
本日付の日本経済新聞で、厚生労働省は来年春にも賃貸物件で特別養護老人ホーム(特養)を運営することを認める方針であることが報じられました。
特養を運営する社会福祉法人は、土地は借地でもOKですが、建物については自ら所有する必要がありました。建物の賃借が認められれば、地主が建物を建てて、それを社会福祉法人に貸す形態もOKとなります。
地主が相続税対策として賃貸マンションやアパートを建てることは以前から行われていましたが、最近は普通の賃貸マンション・アパートではなく、サービス付き高齢者住宅(サ高住)を建てる事例も出てきています。
規制が緩和されれば、特養を建てて社会福祉法人に貸すことを考える地主が一定数あらわれることは間違いないでしょう。安定収入が得られるのもさることながら、社会貢献にもつながるという一種の満足感がインセンティブになるように思えます。
ただし、規制が緩和されるのは1都3県、愛知、大阪などの都市部のみで、新設の社会福祉法人が初めから建物を借りて参入する形態も禁じられます(現に特養を運営する法人が傘下の特養を増やす場合のみが規制緩和の対象)。
それでも、記事によれば、東京都は「特養の整備が大きく進む可能性がある」と期待を寄せているようです。もっとも、建物が増えても、それに見合う介護職員を確保できなければどうしようもありません。介護人材を国内だけでは賄えず、外国に求める動きが加速するのではないでしょうか。