後見制度支援信託の問題点

後見人による本人の財産の使い込みなどを防止する目的で導入された後見制度支援信託は、利用検討の対象額が1,000万円から500万円に引き下げられたこともあってか、利用件数は着実に伸びているようです。

後見制度支援信託の仕組みに沿った信託商品を提供している金融機関は4行ありますが、最低受託額や信託報酬は銀行によってまちまちです。民間企業がやっていることなのだから当たり前と言えるかもしれませんが、制度自体、裁判所によるお仕着せの色合いが濃いことを考えると、釈然としないところがあります。

そして、4行のうち三井住友信託銀行と三菱UFJ信託銀行は、信託管理報酬は無料で、運用報酬は信託金を運用した収益から一定額を差し引く形となっています。つまり、元本が目減りすることはない。しかし、最低受託額は両行とも1,000万円以上です。流動資産額が1,000万円に満たない人は利用することができません。

一方、みずほ信託銀行とりそな銀行は、最低受託額の制約は事実上ありません。しかし、信託管理報酬を見ると、みずほは原則無料ですが、当初信託金が1,000万円未満のときは契約時に32,400円かかります(契約中は無料)。そして、りそなは契約時に162,000円、契約中に月額3,240円かかります。管理報酬の高さは突出しており、りそなは選択肢になり得ないといってよいでしょう。

さらに、運用報酬を見ると、両行とも信託金の元本に対して一定の率を掛けて計算する形となっています。実際には運用収益から差し引くことになると思いますが、元本が目減りする可能性もゼロではありません。

利用検討対象額を500万円に引き下げる一方で、流動資産が1,000万円に満たない人は、商品性にすぐれる三井住友と三菱UFJを利用することができず、事実上、みずほしか選択肢がない。そして、みずほの商品性はいまひとつ。本人の財産の保護をうたいながら、実際のところは利用者の目線に立っているとは言えない制度ではないかとさえ感じています。

 

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