無料サービスを一方的に廃止することの是非
アメーバブログ(アメブロ)の独自機能「ペタ」の廃止を運営者がスタッフブログで告知したところ、2,000件を超えるコメントが寄せられ、その大部分が「ペタ」の一方的な廃止を批判する意見のようです。
「ペタ」とは足跡を残すことを意味していて、このボタンを押すことによって「あなたのブログを訪れましたよ」とブログ開設者に伝えることができる機能です。アメブロ独特の機能で、「アメブロ文化」を象徴するものでもありました。
よく知られているとおり、アメブロは基本的に無料のサービスです。「無料なのだから、どんな機能を提供するかも運営者の自由だし、それを廃止するのも運営者の自由のはずだ」という議論は確かに成り立ちそうです。
しかしながら、この手の無料サービスは、決して無償の奉仕やボランティアなどではなく、あえて無料で提供することによって多くのユーザーを集め、そこに広告を流すことで収益を得るというビジネスモデルですから、一方的にサービスを変更したり廃止してユーザーの離反を招くことは、自らのビジネスモデルを否定することでもある。「ペタ」の廃止に反対を表明する人たちは、そのことを理解していて、それゆえに反発するのではないでしょうか。
さらに、運営者は「ペタ」の廃止に踏み切る理由として、「同じ目的を担う、ブログの『いいね機能』への利用者の移行により、一通りの役割を終えたと判断」したことを挙げています。
しかし、この「いいね機能」は某SNS独特の機能を強く連想させるものであり、「ペタ」という独自の機能を「二番煎じ」で代替させることへの違和感が廃止反対論の背景にあることは間違いないところでしょう。
アメブロに限らず、無料で提供され、その結果多くの利用者を獲得したサービスは、運営者の思惑を超えて、いわば「ITインフラ」というべき社会的な存在になっているのであって、運営者の都合で仕様を変更したり改廃することには慎重であるべきだし、サイレントマジョリティーは理解してくれるなどと高をくくるべきではないだろうと思った出来事でした。