在宅死と死亡診断書(承前)

前記事でご紹介した厚生労働省通知のきっかけとなった国会質疑です。

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第180回国会
参議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会第7号
平成24年7月25日

○梅村聡君 私は両方進めていくべきだと思いますね。施設、医療、介護、それから病院ですね、それから在宅の問題、これを今回は高齢者が増えてくるという中で充実させていかないといけないと、そういう御答弁をいただきましたが、少し、一つ問題提起をさせていただきたいと思います。
これから二〇二五年に向けて、お亡くなりになる方が非常に増えてまいります。当然、在宅でみとられる方、こういう方々も数としては増えてくる、そういう社会になってくるわけであります。そこで今、非常に問題になっているのが、医療従事者を中心として法解釈の誤解ということが広がってきています。
フリップをお願いします。こちら、医師法二十条という法律なんですけれども、この法律は、「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。」と、こういう法律でありますが、厚労副大臣、この法律の意味を御説明いただきたいと思います。

○副大臣(辻泰弘君) 梅村委員御指摘いただきました医師法第二十条は、社会的に重要な証明書類となります死亡診断書が不正確なものとならないように、医師自らが診察しなければ死亡診断書を発行することができないことを規定しているものでございます。また、同条のただし書は、医師が診療中の患者について二十四時間以内に診察を行い診療中の疾患に関連して死亡したと判断できる場合には、改めて診察することなく死亡診断書を発行してよいことを認めるものでございます。

○梅村聡君 要するに、証明書を発行するときには必ず目の前で診察をしなさいという話ですね、前半は。後半は、ただし、お亡くなりになるときというのは必ずしも目の前で、オンタイムで亡くなられるとは限りませんから、その場合は、今まで診察をしていた疾患で亡くなられた場合には、その場で診察ができなかったとしても死亡診断書を出してもいいと、こういう内容の法律なわけですね。
ところが、誤解というのは、今何が起こってきているかというと、二十四時間以内に診察をしていなければ死亡診断書が書けないんだと、こういう誤解があるんですね。あるいは二十四時間以内に診察をしていなければ警察に届けなければいけないんだと、まあ異状死の場合は警察ですけれども、そういう誤解が広がっているんですが、確認をしますが、この解釈は誤りですよね。

○副大臣(辻泰弘君) 委員御指摘のとおり、一言で言えば誤解でございます。
診療中の患者が診療に係る疾病で死亡した場合には、医師が死亡の際に立ち会っておらず診察後二十四時間以上経過していた場合であっても、改めて診察を行うことにより死亡診断書を発行することができるものでございます。また、死体を改めて診察した際に異状があると認められる場合でなければ、警察署への届出の義務も生じないということでございます。
したがいまして、御指摘の解釈は誤りでございます。

○梅村聡君 実は、この後の二十一条に、異状死は届けなければいけない、二十四時間以内にという項目があるんです。ですから、それと勘違いをしておられる方が多いんですね。
これ、勘違いが起こっていると何が起こるかというと、在宅ではみとりができないという話になるんです。警察がやってくるんです。みとりと警察はそもそも関係がなくて、異状死というのは、例えば頭を鈍器で殴られている跡があったりとか犯罪が疑われているもの、あるいは死因が不明の変死体である、こういったものが届出なわけですから、在宅みとりをこれから広げていくときにこういう誤解があると、亡くなるたびに家の前にパトカーがやってくると。そうすると、本当に家でみとるのができるのかという誤解にもなりかねないのです。
ですから、この誤解を解くために、もう一度この正しい解釈を厚労省の方から全国の医療機関にきっちり通知をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○副大臣(辻泰弘君) 今日まで、医師法第二十条の解釈につきましては、解釈通知を発出するほか、厚生労働省が毎年発行しております死亡診断書記入マニュアルに必要な事項を記載の上公表しているところでございます。しかしながら、この解釈通知も昭和二十四年に発出というようなことでもございます。御指摘も踏まえまして、医療現場で医師法第二十条の趣旨が正しく理解されるように改めて通知を出すなど、更なる周知を図りたいと考えております。

○梅村聡君 昭和二十四年って、今は平成二十四年ですから、是非早く急いで出していただきたいなと思います。

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医師が死亡診断書を書いてくれず、警察による検視に回されてしまったという話は私も聞いたことがあります。在宅医療を定着させていくためには、こうした運用面での改善は欠かせません。

 

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