成年後見関係事件の概況
最高裁判所事務総局家庭局から「成年後見関係事件の概況(平成31年1月~令和元年12月)が発表されています。
○申立件数は減少
成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始及び任意後見監督人選任事件)の申立件数は合計で35,959件(前年は36,549件)で、対前年比約1.6%の減少となりました。一方、保佐開始の審判の申立件数は対前年比約7.1%の増加、補助開始の審判の申立件数は対前年比約32.8%の増加となっています。
○申立ての動機
主な申立ての動機としては、預貯金等の管理・解約(全体の40.6%)が最も多く、次いで身上保護(同21.8%)となっています。
○親族後見人の選任比率はさらに低下
親族が成年後見人等に選任されたものは全体の約21.8%(前年は約23.2%)となり、その比率はさらに低下しました。親族後見人については中核機関が支援することが想定されています。中核機関の設置が進まない現状において、このような結果になるのはやむを得ないところかもしれません。
ちなみに、第三者後見人の主な内訳は以下のとおりです。
・弁護士:27.8%
・司法書士:37.7%
・社会福祉士:18.4%
・社会福祉協議会:4.4%
・行政書士:3.5%
・市民後見人:1.1%
残念ながら、行政書士が三職種(弁護士、司法書士、社会福祉士)の後塵を拝する現状は変わっていません。せめて社協は上回りたいところです。
今年度は「成年後見制度利用促進基本計画」の中間年度に当たりますが、申立件数が前年を下回ったことに象徴されるように、成年後見制度の利用促進はあまり進んでいないのが実情と言えるでしょう。