コンプライアンス

このところ、行政書士の不祥事が新聞紙上やニュース画面で目立ちます。嘆かわしいことです。ごく一部の不心得者の行為ではあるのですが、行政書士全体の信用にかかわってくることは避けられません。


もっとも、入管業務絡みで逮捕・処分歴のある行政書士(支部長経験者だそうです)が、申請取次資格の再取得を目指していて、私的勉強会の講師もしているという話を聞くと、この業界の自浄能力に一抹の不安を覚えてしまいます。


東京都行政書士会から「職務上請求書の適正な使用に関するお知らせ」が出されました(「行政書士とうきょう」2012年5月号に掲載)。「職務上請求書の不適切使用と思われる広告削除のお願い」という副題がついていて、戸籍謄本等の取得を代行するという内容のウェブ広告を出している会員がいるが、日行連の職務上請求書の適正な使用及び取扱いに関する規則5条に違反するので、直ちに広告を削除せよというものです。


他の道府県がどういう対応をしているかは知りませんが、東京会の会員で、いまだに上記のウェブ広告を出している行政書士がいます。単にお知らせが出ていることを知らないだけ(これはこれで問題ですが)なのか、自らの信念に基づいて出し続けているのかは、外部からはうかがい知れません。


行政書士にとってのコンプライアンスとは、単に法令や社会規範を遵守することにとどまらず、書類作成を業とする者として、法的根拠に裏づけられた有用な書類(電磁的記録を含む)を作成し、提供することであると考えています。


その意味からいくと、以前にも当ブログで言及したことがある「電子遺言」を行政書士が推奨することは、問題があると考えざるを得ません。たとえ「法的には無効です」という断り書きがしてあっても、一般の方が「行政書士が推奨するのだから有効なものだろう」と誤解してしまう懸念は払拭できません。


先日、たまたまネット上で見かけた某セミナーの案内文には「遺言にもさまざまな形式があります。公正証書遺言・自筆証書遺言・電子遺言があります。重要なことはあなたにあった適切な遺言の形式を選択することです。」という記述がありました。何の断り書きもなく「電子遺言」を公正証書遺言や自筆証書遺言と同列に扱っていますが、このような表現は誤解を招きかねないので、改善をお願いしたいところです。

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