幽霊事務所
行政書士法にはこんな規定があります。
第8条 (第1項、第2項は略)
3 使用人である行政書士等は、その業務を行うための事務所を設けてはならない。
「使用人である行政書士等」とは、「行政書士の使用人である行政書士又は行政書士法人の社員若しくは使用人である行政書士」です。(8条1項)
つまり、個人開業から行政書士法人の使用人となったときには、それまで構えていた事務所をたたまなければならないということです。
ところが、使用人行政書士になったにもかかわらず、旧来の個人事務所のウェブサイトをそのまま残している同業者がいます。これは一体どういうことなのか。
故意で残しているのは論外ですが、仮に当該行政書士が「問題意識は持っているが、今は多忙でそのままになっている。しかし、一区切りついたら削除するつもりだ」と考えていたとしても、それは決して容認できることではないと私は考えています。単位会への変更登録申請をすると同時にけじめをつけておくべき性質の事柄だからです。
しかも、今や存在しない幽霊事務所と化したサイトが、「地名+行政書士」等のキーワードで検索すると上位に表示されることがあります。事情を知らない一般の方が問い合わせをするかもしれません。ところが、電話は通じないし、メールは届かない――そんなことになれば、行政書士全般の信用を損ないかねません。
「一国一城の主」から雇われる身になったことについて葛藤があり、そのことが当該行政書士をして旧個人事務所のウェブサイトの削除をためらわせていることがあるのかもしれません。その心情は理解できないわけではありませんが、未練がましくサイトだけを残しておくようなことはすべきではない。潔く削除すべきでしょう。
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