民法特例法

東日本大震災の被災者である相続人について相続放棄の熟慮期間を延長する民法特例法が、17日の参議院本会議で可決され、成立しました。条文が一つだけの短い法律なので、全文を引用してみます。


東日本大震災に伴う相続の承認又は放棄をすべき期間に係る民法の特例に関する法律

1 東日本大震災(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。以下同じ。)の被災者(東日本大震災に際し災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)が適用された同法第二条に規定する市町村の区域(東京都の区域を除く。)に同日において住所を有していた者をいう。以下同じ。)であって平成二十二年十二月十一日以後に自己のために相続の開始があったことを知ったものに対する民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百十五条第一項の規定の適用については、同項中「三箇月以内」とあるのは、「三箇月以内(当該期間の末日が平成二十三年十一月三十日前である場合には、同日まで)」とする。ただし、当該被災者が相続の承認若しくは放棄をしないで死亡した場合又は未成年者若しくは成年被後見人である場合については、この限りでない。

2 前項の規定は、相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡し、かつ、その者の相続人が被災者である場合における当該死亡した相続人の相続及び相続人が未成年者又は成年被後見人である相続であってその法定代理人が被災者であるものについて準用する。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に民法第九百二十一条第二号の規定により単純承認をしたものとみなされた相続人についても適用する。ただし、当該相続人が単純承認をしたものとみなされた後、施行日前に同条第一号に掲げる場合に該当することとなったときは、この限りでない。


括弧書きが多いので読みにくいのですが、便宜的に括弧を外してみると、言っていることは単純です。


東日本大震災の被災者であって平成二十二年十二月十一日以後に自己のために相続の開始があったことを知ったものに対する民法第九百十五条第一項の規定の適用については、同項中「三箇月以内」とあるのは、「三箇月以内(当該期間の末日が平成二十三年十一月三十日前である場合には、同日まで)」とする。ただし、当該被災者が相続の承認若しくは放棄をしないで死亡した場合又は未成年者若しくは成年被後見人である場合については、この限りでない。


要するに、熟慮期間を11月30日まで延ばしますよ、ということですね。


本文と並んで重要なのが附則の第2項で、この法律が施行される時点で震災から3カ月以上を経過していますから、施行日前に3カ月が過ぎてしまった被災者を救うために遡及適用することとしています。


ところで、この法律は議員立法によるものですが、より正確にいえば、衆議院法務委員長提出の法律案でした。この法律のように各党が成立させることで合意しており、全会一致での可決が見込まれる議員立法の場合、委員長提出の形態がよくとられます。


ちなみに、先日衆議院で可決され、現在は参議院で審議中の復興基本法案も、当初の政府案を修正することで民主、自民、公明の各党が合意したため、閣法(内閣提出法律案)を一たん撤回し、修正内容を盛り込んだ委員長提出法律案を可決する形で衆議院を通過しています。(ただし、全会一致ではなく、共産党とみんなの党は反対)


日本赤十字社 東日本大震災義援金

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