私の愛聴盤~クーベリックの「わが祖国」
ことし生誕100年を迎える名指揮者、ラファエル・クーベリックの録音をご紹介しましょう。
1984年にバイエルン放送交響楽団と録音したスメタナの「わが祖国」全曲です。
クーベリックはチェコ生まれですが、1948年に共産党が政権を握ったときに亡命し、主に西側で活動した指揮者です。バイエルン放送交響楽団との縁は深く、1961年から1979年まで首席指揮者を務めました。
クーベリックは「わが祖国」をたびたび録音しています。祖国を離れることを余儀なくされた彼は、この曲への思い入れが人一倍強かったのでしょう。バイエルン放響とのこの録音はライブ録音ですが、会場の残響をほどよく取り入れた柔らかい響きで、とても聴きやすいものとなっています。
「わが祖国」というと2曲目の「モルダウ」がよく知られていますが、他の5曲も名曲です。特に第1曲の「ヴィシェフラト(高い城)」は、2台のハープのユニゾンで始まる冒頭部がとりわけ印象的です。
このCDを買ったのは随分前(たしか昭和の御代だったような‥‥)ですが、どの店にも在庫がなく、何軒も回ってようやく見つけたことを覚えています。入手するのに苦労した分、愛着を感じる部分があるのかもしれませんね。