遺言執行者を指定するときの文例を教えてください。

【文例】
第×条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、下記の者を指定する。

東京都足立区綾瀬一丁目×番×号 STビル303号室
行政書士 東京 三四郎(昭和××年×月×日生)

2 遺言執行者は、遺言者の不動産、預貯金、有価証券その他の債権等遺言者名義の遺産のすべてについて、遺言執行者の名において名義変更、解約、換金・払戻し等の手続及び換価金・払戻金の受領等の手続をし、貸金庫を開扉し、内容物の収受を行い、本遺言を執行するため必要な一切の権限を有するものとする。この権限の行使に当たり、他の相続人の同意は不要である。

3 遺言執行者は、必要なとき、他の者に対してその任務の全部又は一部を行わせることができる。

4 遺言者は、遺言執行者に対する報酬を、遺言執行対象財産の総額の×パーセントとする。ただし、その額が金××万円に満たないときは、遺言執行者に対する報酬を金××万円とする。

<ポイント>
 遺言者は遺言執行者を指定することができます(民法1006条)。1人でも複数でも構いませんし、法人を指定することもできます。未成年者と破産者以外は誰でも遺言執行者になることができます(同1009条)。遺言書を作成するときは、あわせて遺言執行者を指定しておくことをおすすめします。遺言執行者は相続人の代理人とみなされ(同1015条)、遺言執行者がいるときには、相続人は遺言の執行を妨げる行為をすることができません(同1013条)。

 配偶者や長男など推定相続人のうちの1人を遺言執行者に指定することもできますし、実際にそういう事例はよく見受けられます。しかし、遺言の執行には時間と労力を要しますし、専門的な知識が必要な場面もあります。相続人が遺言執行者を兼ねると、他の相続人との関係で心理的な負担を感じることも少なくないようです。遺言執行者には行政書士、司法書士、弁護士などの法律職を指定することをおすすめします。遺言執行者に第三者を指定するときは、第4項のように、あらかじめ報酬を決めておいた方がよいでしょう。

 第2項は、本来は必要のない規定ですが、念のため入れておくことをおすすめします。残念なことですが、一部の金融機関では遺言執行者の権限について理解が不十分な担当者がいることがあります。そのような担当者に当たってしまったとき、この項目が生きてきます。