故人の遺言の存在を知りながら実行しなかった場合、罪になりますか。

 遺言がある場合でも、相続人の全員が合意すれば、遺言に従わない形で遺産分割をすることができます。したがって、遺言の存在を知りながら実行しなかったことにより罪に問われるようなことはありません。

 ただし、公正証書遺言を除く遺言書については、家庭裁判所に提出して検認を請求することが義務づけられています。検認の請求を怠ると5万円以下の過料に処せられる可能性があります。これは、遺言に従うかどうかとは全く別の問題ですので、ご注意ください。

 また、遺言書そのものを偽造・変造・破棄・隠匿すると、相続人の欠格事由に該当し、相続人となることができなくなります(遺留分減殺請求もできません)。自分にとって不利な内容の遺言とわかっていても、安易に捨てたり隠したりすることは慎むべきです。