夫の遺言が「長男に全財産を相続させる」というものでした。他の相続人は納得できなくても遺言に従うしかないのでしょうか。相続人は、妻である私と長女、そして長男です。

 配偶者や子には最低限の相続分として保障される遺留分があります。本事例の場合、妻の遺留分は4分の1、長女の遺留分は8分の1となります。

 遺留分を確保するためには、長男に対し遺留分減殺請求をすることになります。請求の意思表示をした時点で遺留分を受け取る権利は確定し、長男はこれを拒むことはできません。ただし、遺留分減殺請求権は、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないと、時効によって消滅してしまいます(相続開始の時から10年を経過したときも同様)。

 遺留分減殺請求を内容証明郵便でしておくと、請求した事実を公に証明することができますから、「そんな話は聞いていない」と抗弁されても対抗することができます。