遺言書に記載すべきことはどういう内容ですか。具体的に教えてください。

 ご自身の財産についてはすべてリストアップし、誰に相続させるかを決めておいた方がよいでしょう。

 例えば不動産についてだけ遺言を残すという方法もありますが、これでは、預貯金など他の相続財産については改めて遺産分割協議をしなければならず、残された家族(相続人)の手間がかえって増えてしまいかねません。

 不動産については、名寄帳でご自身の名義となっているものを再確認されることをおすすめします。私道や公衆用道路となっている部分は見落とすことがあるので、注意が必要です。名寄帳は、自治体の固定資産税関係の窓口で閲覧・取得することができます。

 預貯金や有価証券については、金融機関名、支店名、種別、口座番号(株式については銘柄と株数)まで記載しておくとよいでしょう。残高を記載する必要はありません。

 「遺言者は、前項までに記載する財産を除く遺言者の有する不動産、動産、預貯金、現金その他一切の財産を、長男B(昭和××年×月×日生)に相続させる。」という包括的な条項を載せておくと、記載漏れがあったときに対処が可能となります。

 また、遺言書には「付言事項」というものを記載することができます。法律的な効力を持つ遺言本文とは別に記載する条項で、自由な内容を記載することができます。この付言事項を活用して、各自の相続分を指定した理由や遺言に込めた思い、家族へのメッセージなどを記載しておくと、円満な相続を実現する大きな要素となります。

 特に兄弟姉妹の間で不均等な配分をする場合や、特定の相続人の遺留分をあえて侵害する内容にする場合は、付言事項でその理由を説明しておくべきでしょう。