遺言とは、具体的にはどのようなことをいうのでしょうか。
遺言は、法律的には「遺言者の死亡とともに一定の効果を発生させることを目的とする相手方のない単独行為」(注参照)と定義することができます。
「遺言者の死亡とともに一定の効果を発生させる」ものですから、言いかえれば、効果が発生するときには、遺言者はこの世にはいません。したがって、遺言者の希望がはっきりとわかる形で残しておいてもらう必要があります。
また、遺言は「相手方のない単独行為」です。すなわち、遺言を残される側の意向は関係なく、遺言者の意思だけで実現させることができるという強い効果を持つものです。
以上のことから、遺言は書面の形で、法律が定める一定の様式に従ったものでなければならない(要式行為といいます)とされています。
このことが遺言に対する心理的なハードルを必要以上に高くしている側面があるのですが、遺言の本質は、ご家族や親しい人へのラストメッセージであり、「残される家族に負担をかけたくない」という思いやりの気持ちを形にしたものであると考えています。
(注)我妻榮・有泉亨・遠藤浩・川井健著「民法3 親族法・相続法 第二版」(勁草書房、2005年)373ページより引用