日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)という制度があると聞きました。成年後見との違いは何ですか。

 日常生活自立支援事業とは、各地域の社会福祉協議会(社協)が行っている事業で、日常の金銭管理や契約手続などに不安を持っている人を対象に、円滑に日常生活を送ることができるように社協が支援を行うものです。

 具体的には、利用者と社協が利用契約を結び、介護保険など福祉サービス利用の申込み代行、日常的な金銭管理、預金通帳の預かりなどのサービスを社協が提供します。

 相談や支援計画の作成に関する費用は無料ですが、金銭管理などのサービス利用は有料です。

 この事業の対象者は、「判断能力が不十分だけれども、契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる」人です。具体的には保佐相当までを対象者として想定しているようです。

 社協は各市区町村に設置されています。この事業について詳しく知りたいときは、お住まいの地域の社協にご相談ください。

 日常生活自立支援事業は、2007年(平成19年)4月に地域福祉権利擁護事業から今の名称に変更されましたが、東京都社協は地域福祉権利擁護事業の名称のままで事業を行っています。

執筆者
行政書士・社会福祉士 稲吉 務
(足立区の専門職成年後見人)