兄と私で父の財産を相続することになりました。しかし、お互い遠方に住んでおり、手続が進みません。相続手続に期限はありますか。

 相続放棄や限定承認をするのではなく、すべての財産を相続する(単純承認)のであれば、手続自体に期限はありません。

 しかし、不動産の相続に関しては注意すべき点があります。名義変更(相続登記)のために大抵の場合において必要な添付書類として、被相続人(登記名義人)の住民票の除票または戸籍の附票があるのですが、どちらも法定の保存年限は5年です。これを超えると廃棄されてしまい、入手できなくなるおそれがあります。このような場合でも相続登記自体はすることができますが、除票または附票に代わる書面を用意しなければならず、手続が煩雑になってしまいます。

 相続登記をなさらない方は結構いらっしゃって、固定資産税さえ払っていれば役所は何も言いませんし、相続登記をしなくても日常生活に差し支えがあるわけではありませんから、ついついそのままにしてしまうことがあるようです。

 ところが、事情が変わって不動産を売却するとなると、亡くなった人の名義では売ることができませんから、相続登記をしなければなりません。このとき、相続が開始してから長い時間が経過し、二次相続が発生などしていると、その手続は大変面倒なものとなります。相続登記は早めに(除票または附票がとれるうちに)済ませておくことをおすすめします。

 また、税の関係では、準確定申告(4カ月)と相続税(10カ月)について申告期限が定められているので、ご注意ください。