では、財産と借金のどちらが多いのかわからないときは、どうしたらよいのでしょうか。

 限定承認という方法があります。

 限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務などを弁済することを留保して相続の承認をする手続です。

 例えば被相続人が3,000万円相当の資産を持っていて、同時に5,000万円の借金を抱えていた場合、相続した3,000万円の範囲で被相続人から引き継いだ借金を返すことになります。

 限定承認は、相続人が複数いる場合、その全員が共同して行わなければなりません。そして、3カ月以内に相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければなりません。

 このように手続が面倒なことから、限定承認の申述件数は非常に少ない(相続放棄が年に約15万件あるのに対し、限定承認は1,000件程度)のが実情です。