成年後見制度を利用すると選挙権がなくなるというのは本当ですか。

 従来、公職選挙法において成年被後見人は選挙権及び被選挙権を有しないものと規定されていました。禁治産者について選挙権及び被選挙権を認めていなかった規定を、新しい成年後見制度が始まった後も引き継いでいたのです。

 しかし、2013年(平成25年)3月、東京地裁でこの規定を違憲無効とする判決が出たことを受けて同年5月に公職選挙法が改正され、この規定は削除されました。したがって、現在は成年被後見人も選挙権及び被選挙権を有します。

 なお、被保佐人と被補助人については、選挙権及び被選挙権を制限する規定は従前からありません。

執筆者
行政書士・社会福祉士 稲吉 務
(足立区の専門職成年後見人)