成年後見制度を利用している方はどのくらいいるのでしょうか。

 最高裁判所の「成年後見関係事件の概況(平成28年1月~12月)」によると、平成28年12月末日時点における成年後見制度(後見・保佐・補助・任意後見)の利用者数は合計で203,551人となっています。

 類型別に内訳を見ると、後見が161,307人(79.2%)、保佐が30,549人(15.0%)、補助が9,234人(4.5%)、任意後見が2,461人(1.2%)で、後見が圧倒的に多く、保佐がこれに続き、補助と任意後見は非常に少ないのが実情です。

 3-1でご説明したように、成年後見制度は介護保険の導入にあわせて整備され、「介護保険と成年後見は車の両輪」と言われています。しかし、介護保険はさまざまな問題を抱えながらも、私たちの暮らしの中で定着しつつあるのに対し、成年後見制度の普及は進んでいません。介護保険サービスの利用者は400万人を超えていますが、成年後見制度の利用者はその1割にも満たない数にとどまっています。

執筆者
行政書士・社会福祉士 稲吉 務
(足立区の専門職成年後見人)