「カメのきた道」を行く

昨日(5月9日)付日本経済新聞の1面コラム「春秋」に興味深い記事が掲載されました。全文をご紹介します。

▼ありったけの力で走り続けなくちゃならないのよ。その場にとどまっているためには。――アリスが訪れた「鏡の国」の不思議を、赤の女王はこう説明した。ルイス・キャロルらしい不条理の世界ではあるが、これが進化生物学の世界では重要な考え方に通じるらしい。

▼1970年代に米国の研究者が提唱した「赤の女王仮説」は、たとえば次のような例を考える。キツネが獲物を捕らえる能力を高めたら、ウサギやネズミは速く逃げたり上手に隠れたりする力を磨かないと滅びかねない。その逆もまた真なり。キツネと競ってウサギなどを狙うオオカミにしても、絶滅のおそれに直面する。

▼つまり、生き物はたえまない軍拡競争を続けることによって種を保っている、という。軍拡のたとえにうかがえるように、国際政治にもあてはまる気がする。それ以上に、企業間の競争にぴったりかもしれない。内外で発表が相次ぐ企業の決算や再編の動きからも、全力で走り続けないと生き残れない現実が浮かんでくる。

▼もっとも、生き残るための戦略はさまざまだろう。爬虫類の進化に詳しい平山廉・早大教授によれば、カメはせわしなく活動する哺乳類とも巨大化した恐竜とも異なる第3の道を選び、2億年も栄えてきた(「カメのきた道」)。一見のんびりした、つつましい生き方こそ、成功の秘訣。そんな企業だってあるかもしれない。

我が業界においても企業マインドに富んだ同業者の活躍が目立つようになってきました。これはもちろん大いに結構なことですが、一方で売り上げや規模の拡大に重きを置かない方向性があってもよいと思っています。

私自身、拡張志向はありません。法人化は言うに及ばず、補助者を雇い入れたいという思いもないのです。ビジネス感覚が乏しいのだと言われれば、確かにそうなのかもしれません。しかし、私を信頼して任せてくださった依頼人に対し、自身の全責任において対応できる範囲で仕事をし、時間的・能力的に私のキャパシティーを超えるものは信頼できる同業者や他士業者にお願いするという形でこれからもやっていきたいと思っています。

 

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