後見と補助~異なる類型なのですが…
改めて言うまでもないことですが、「後見」と「補助」は明らかに異なります。後見は「事理を弁識する能力を欠く常況にある」方に付されるものであるのに対し、補助は「事理を弁識する能力が不十分である」方に付されます。イメージとしては、後見が常に手助けを必要としているのに対し、補助は不安な部分だけを助けてもらうといったところでしょう。
しかし、銀行実務においては、後見も補助も(もちろん保佐も)十把一絡げで、「(法定)代理人がついたら本人による預け入れや引き出しは認めない」のが基本的なスタンスのようです。
後見の場合はやむを得ないかなと思いますが、補助の場合はどうでしょう。自分の名義の口座なのに自由に出し入れができないとなったら、釈然としない思いを抱く被補助人がいてもおかしくないと思います。
銀行がこのような扱いをする理屈が全くわからないわけではありませんし、特定の金融機関についてはあえて代理人(補助人)選任の届けを出さず、本人に管理を任せるとか、通帳は補助人が管理して本人には(代理人用の)キャッシュカードを持たせるとか、便宜的な方法はあります。
しかし、類型として異なる以上は、「取引の安全」と「本人の意思や能力の尊重」との間で何とか折り合いをつけられないものだろうかと、補助人として金融機関へ赴くたびに思っています。