補助類型について

法定後見のうち補助類型は、平成12年(2000年)の民法改正で新たに導入されたもので、後見類型や保佐類型とは異なる特徴があります。

それは、本人の意思を尊重する仕組みが整えられていることです。

具体的には、
(1)本人以外の者が審判開始を申し立てるときは、申立てについて本人の同意が必要であること。
(2)補助人が同意または取り消すことができる行為は、申立ての範囲内で裁判所が定める行為(民法13条1項に定める行為の一部に限る)で、かつ、本人の同意が必要であること。
(3)補助人に与えられる代理権は、申立ての範囲内で裁判所が定める特定の行為で、かつ、本人の同意が必要であること。
です。

つまり、本人の同意なしに勝手に申し立てられることはないし、同意権・取消権・代理権の内容も本人の同意を得て決定される仕組みとなっています。

成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29号)は、基本理念を定めた第3条において「成年被後見人等の意思決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人等の自発的意思が尊重されるべきこと」を掲げていますが、補助類型はこの理念に合致したものであると言えるでしょう。

しかしながら、実際に利用されている類型は後見が全体の約8割を占め、次いで保佐が約15%であり、補助は5%にも満たないのが実情です。

現状では、判断能力が大きく低下し、日常生活に支障が生じてから初めて制度の利用を考えるケースが大宗を占めるため、結果として後見や保佐に偏る形になっています。そのような状況に至る一歩手前の「日常生活はほぼ問題ないが、大きなお金を動かすことなどはちょっと不安」という段階で補助類型を利用すれば、本人にとって制約が少なく、かつ適切な支援が受けられる体制を整えることができます。

国や自治体に制度の周知に努めてもらわなければならないのは当然ですが、制度を利用する一般市民の側も、切羽詰まってから利用するのではなく、転ばぬ先の杖として使うように意識を変えていく必要があるでしょう。弊所も微力ながら、成年後見制度が本来の理念に沿ったものとして社会に定着するよう努めていきたいと思っています。

 

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